●vol.12 映画のなかのソーイング」その3『バットマン2』

 話題にしたいのは、バットマン本人じゃなくてキャット・ウーマン。

 キャット・ウーマンは、あんまり幸せそうな女の子じゃないんだよね。大都会にひとりで出てきて、友だちもいなさそうだし、仕事もできる方じゃないし、生きていくのがへたっぴ。
 おまけに、困るのが田舎で待っているお母さん。
 「もう、あなたって人はクリスマス休暇だっていうのに何で帰ってこないの? そんなにママが嫌いなの? そうやってママを見捨てるのね、もうママを愛してないのね、たまには帰ってきて、ママのグチを聞いてちょうだいよ、ぶちぶち(以下リピート)」
 それを聞いているうちにキャット・ウーマンは「う〜」とかなってきて、クローゼットにあった自分の服を引きちぎって、キャット・ウーマンのコスチュームをせっせと縫い出しちゃう。
 キャット・ウーマンはそれまで、可もなく不可もない服を着ている、いってみればダサい女の子なんだけど、キャット・ウーマンに変身してからは、「自分の中の獣を野に放つ」って感じの大活躍。
 バットマンから「君と僕は同じように心の中に闇を抱えている」っていわれたりする。

 もしかしたら、あのキャット・ウーマンのコスチュームは、「自分を表現する服」、あのダダダダ・ソーイングは、自分探しの第一歩だったのかしらん。
(01.1.6)

vol.13 へ   一つ戻る  コラム集の目次へ   「ISL」トップへ