●指ぬきの話

 日本の指ぬきって、圧倒的にリング型ですよね。でも、和洋裁両方やってみた感想としては、和裁の「並縫い(ぐし縫い)」とか「くけ」のように直線的に進むものは、リング型の方が断然いいのですが、洋裁のように「まつり」が多いものは「キャップ型」の方がいいような気がします。リング型をして「まつり」をやっても、結局針のあたまを中指の先に当ててしまい、指に小さなあとがたくさんついてしまいます。日本の達人たちはどうしているんだろうと思って、洋裁雑誌とかで先生の手元の写真を見ているんですけど、みなさん見事にリング型。伊藤カズさんも、島中豊さんも(観察細かいですね)。
 ところが先日『ポーラX』という映画を見ていて、ついに! キャップ型の指ぬきを発見したのです。主人公の婚約者がウエディングドレスの裾上げをしてもらうシーンがあるのですが(この主人公というのは貴族の跡取り息子で、婚約者のドレスは当然オートクチュールです)この裾上げをするお針子さんの指に輝いていたのが、まさにキャップ型の指ぬきでした。オートクチュールの設定でキャップ型してるんですから、やっぱりキャップ型でもいいのではないかと思うようになりました。

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